森で生きる家族が母に会うため2400キロの旅に出るお話。
「子育てに正解はない」なんて言葉をよく聞くが、考えてみれば世の中には正解不正解で分けられるものなんて殆ど無いわけで。
それでも私たちは安心したくて、その選択が、その行動が、正しかったのかと自問自答してしまう。
彼らの極端な選択や行動は、私たちのそんな脆い部分を揺さぶる。
そして大切なことはそこに無いことを教えてくれる。
親は子どもに言葉を教え、食べ方を教え、間違ったことをすれば叱り、謝り方を教える。
そうやってたくさんのことを教え、育てていくうちにふと気づく。
その何倍も、何百倍ものことを教えられ、育てられていることに。
この家族の旅路でいちばん成長したのは、間違いなく父親だろう。
家族で母親を見送るシーンは、世界でいちばん美しいと思った。
誰もがこんなふうに見送られたいと思うのではないだろうか。
自分らしく生きるのが難しい世の中なら、せめて自分らしく死にたい。
残された時間や、残っていく人たちのことを改めて考えさせてくれる作品。