mimitakoyaki

グレイテスト・ショーマンのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)
3.0
ああ、なんだか微妙だ。
みんなが感動する作品なのにモヤモヤしているわたし…。
歌もいいしダンスやショーなどのミュージカルシーンには魅せられたんですよね。
俳優陣の演技も良かったですし。
でも、共感も感動もできなくって。

主人公P.T.バーナムの極貧で不遇な子ども時代から、それでも一途にひとりの女性を愛し、身分の壁を乗り越えて結ばれるまでの序盤のストーリーはテンポ良く進み、バーナムを応援したくなるのですが、髭の生えた歌姫、小人、巨人、結合の双子、顔中毛むくじゃらの人など、「ぎょっとする」見た目の「ユニークな」人達を集めてサーカスを作るあたりから、どうしても違和感が拭えず、障害者やマイノリティを見世物にして金を稼いでるようにしか見えなくて、全く感情移入できなくなりました。

貧しくて金持ちから見下されて、地を這うようにしてやっとのことで生きてきたバーナムが、そのコンプレックスから金や地位に固執してしまうのもわからないでもないのですが、それにしても勝手が過ぎて、バーナムに協力してきた人達の事も大事にせず、エゴでしかない。

夢を追い続けて掴む強さや、世間から気味悪がられて差別され排除されてきた人達に仕事や居場所を与え、自分達の個性を輝かせて活躍させた(って、そもそも「与える」というのも上からなわけで嫌なんだけど) と言えば美しいのですが、あまりにも表面的で、バーナムとサーカス団との信頼や絆を深める描写も一切なく、薄っぺらく感じてしまいました。

バーナムという人が、富と名声に貪欲な成り上がりにしか見えなかったのは、わたしの性根が歪んでるのでしょうか…涙
19世紀ですから、白人が顔を黒塗りにしてステレオタイプな黒人を面白おかしく演じたミンストレルショーなんかもあった時代、マイノリティを好奇の目で見たりして笑い者にしていた事を思うと、映画の中ではサーカス団のパフォーマンスは堂々として輝いてて素晴らしかったですが、実際はどうだったんだろう…と思ってしまいました。

そんなこんなで、大作なのにしっくり来なくてちょっと残念な気持ちです。
とはいえ、歌やパフォーマンスは素晴らしいので、スコアはそこの部分にということで。

15
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