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グレイテスト・ショーマンのtjZeroのレビュー・感想・評価

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)
3.8
花粉症、ではないんですよ。

なのになぜか、上映中、眼から”はなみず”がジュワッとにじむ瞬間が何度も。

不満も結構あります。
年末年始に飽きるほど見せられた予告編通りの(それ以上でも以下でもない)予定調和の展開とか、マイノリティの団員たちが舞台を練り上げていく過程(稽古)をもっと見せてほしかったな~、などなど。

ただね~、実際にすぐれた歌曲の数々が始まってしまうと、小言は脇に置いといて足を踏み鳴らそう♪、って気分になってしまう。

ドラマ部分から曲に移るタイミングが、街頭でチラシを釘打ちするトンカチのリズムだったり、バーのカウンターにグラスを置くカチンという音がきっかけだったりするので、とてもスムーズで生理的に気持いい。

そういう意味でベストのナンバーは、興行主のバーナムが劇作家のカーライルを酒場で誘う”THE OTHER SIDE”でありました。

それにしても、下層階級出身のバーナムがマイノリティたちを集めて成り上がっていく…というストーリーは、オーストラリア出身のアウトサイダーとしてハリウッドで成功した主演のヒュー・ジャックマンにピッタリです、

しかも、製作総指揮としてヒューにそんな適役をあてがったのが、『ウルヴァリン』シリーズの盟友ジェームズ・マンゴールド監督。
本作のバーナムとカーライルにも反映されているかのような、いいパートナーシップです。

あと、未見のかたにおススメしたいのが、『ラ・ラ・ランド』とセットで楽しむ、という観方。
メタ的な『ラ・ラ』は現代において黄金期のミュージカルを再現する意義を、フレッシュに提示してくれました。
我々の体内の”歌劇を楽しむモード”を設定し直してくれた、とでも言いましょうか。
『ラ・ラ』でミュージカルを受け入れる態勢を整えた上で、王道的な本作を味わうと、より没入できると思うのです。
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