ふしみあい

ネオン・デーモンのふしみあいのレビュー・感想・評価

ネオン・デーモン(2016年製作の映画)
3.9
オープニングで心掴まれる。
ラメのきらめきで劇場がいっぱいになる。
始まった瞬間からそこはネオンデーモンの世界だった。

今回も話はいたって単純。
都会に憧れる田舎娘ジェシーは、持ち前の可愛さで事務所に所属、ランウェイ、撮影、と順調に人生を変えて行く。
彼女には他のモデルたちにはない魅力がある。みんな取り憑かれたように彼女に憧れ、執着し、嫉妬する。

実験映画のような映像や、謎演出がいっぱいだった。映画館で観られて本当に良かったと思う。
女たちの嫉妬が本当にこわい。
表面化していないだけでじわじわと黒いものが、黒い血が、広がっていくような印象を受ける。

アビー・リー・カーショウ、マッドマックスのダグ役のスーパーモデル。ただのモデルではなく、”スーパー”モデル。足が異常に長い。あまり喋らない彼女の目が神経質さや焦りなどを表現しているような気がした。
整形女の狂ってる感もじわじわくる、すごい。

プールの中の目が伏線になって直後に目が出てきたり、エルファニングの最後に着ていた水色のドレスと同じ色のカーテンなどなど、細かいところにまで計算され尽くした美術や衣装がとても綺麗だった。
メイクの家でモデルたちに追いかけられるシーンはただのホラー。
女性たちのおかしいほどの美への執着はそれぞれ違った形で表される。実際にあの世界にいたら誰もがおかしく、何が正常かなんてわからないのだろう。

この映画の教訓は「調子乗ったらダメ、絶対」ってことだと思った。
美への執着というテーマはレフン監督にぴったりだったと思う。
エルファニング、確かに独特な空気感を持ってるし美人なんだけど、モデルかと言われるとちょっとな、という感じが惜しかった。でもメイクによってあどけない少女から挑戦的な女性にまで姿を変える様はまさにネオン・デーモンだった。

賛否すごくわかれてるけど、私はめちゃ好きだし映画館で観れて良かったと思う。でもあまりお勧めはできないし、カップルでデート行ったら微妙な空気なるかも笑