KouheiNakamura

ゴースト・イン・ザ・シェルのKouheiNakamuraのレビュー・感想・評価

3.0
ゴーストの囁きがきこえない。


士郎正宗原作のSFコミックの金字塔、攻殻機動隊をハリウッドで実写映画化。押井守監督の劇場版アニメのストーリーを元に、TVシリーズの要素などを含めて再構成された作品。主演はスカーレット・ヨハンソン、ピルー・アスベック、ビートたけし。

うぅむ…観終わった直後はそんなに悪くないと思っていた。原作にいやさ押井守の劇場版の画作りに忠実(といえば聞こえはいいが、要はパクリ)な部分は悪くないし、難解なストーリーをハリウッド向けに分かりやすくしたことで間口は広がった…のかもしれない。

だが、やはり元の劇場版には到底及ばない作品であることもまた事実だ。ストーリーの大筋は一緒な分、ラストの種明かしにはがっかりしてしまう。一見上手い改変に思えるが、よく考えてみるとオリジナルのテーマとは全く違う話になってしまっている。難解ではあるがそれ故に愛されていた作品が、間口は広くなったが薄味になった…と言えば分かりやすいだろうか。
またオリジナル版は実はアクションとしてもスリリングでタイトな作りなのだが、その辺りの魅力も今回はやや後退してしまっている。最もこれは攻殻機動隊フォロワーであるマトリックスが既に公開されてしまっているのが大きいわけだが…。

キャスト陣は雰囲気を掴んでいて悪くない。(特にピルー・アスベックのバトーは良かった)ビートたけしはアウトレイジ過ぎたが。(笑)

総じて、全体的に中途半端なSFアクションに仕上がってしまった印象。オリジナルキャスト勢揃いの吹き替え版でも、マイナスをプラスにするまではなかった…。
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