あなぐらむ

あした晴れるかのあなぐらむのレビュー・感想・評価

あした晴れるか(1960年製作の映画)
4.4
全ての眼鏡っ子女子好きを悩殺する、芦川いづみの強烈コケティッシュ炸裂の中平康、間違いなき傑作。
写真論を流暢に語るいづみ、怒りまくるいづみ、ぺろっと舌を出すいづみ、酒に強いぞいづみ! 飄々たるカメラマン・裕次郎もどこ吹く風、ガン黒ギャルメイクの中原早苗と大喧嘩まで、芦川いづみを愛でるヒロイン映画。

裕次郎の行くところ必ず他の登場人物と偶然出会うご都合主義を貫き通して、ドラマはそれでええんや!というコメディとしての開き直り、随所にヌーヴェルバーグやモダニズムをどこか笑い飛ばす皮肉をも配置しながら、スラップスティックである事に正面から取り組む中平の姿勢が潔い。
一方で、殿山泰司に語らせる女性侮蔑論は、通してみると中平のほかの作品にも見えるもので、これがのちに「おんなの淵と渦と流れ」や「結婚相談」等に繋がっていくようでもある。
とにもかくにも芦川いづみ、中原早苗、渡辺美佐子というベスト配置のキャストで、ずっと見ていたい!そんな一本。