ちゃんちゃん焼き

美女と野獣のちゃんちゃん焼きのネタバレレビュー・内容・結末

美女と野獣(2017年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

ミュージカル映画としてとてもよく出来ていて、100点を目指して作った感がある。ディズニーが本気出してつくりました!すごいでしょ!という映画に間違いない。歌も現代風にアレンジしたよ!90年代とは違うでしょ、聴いて!と流れてくる。確かに違う。美女も強い。CGも申し分ない。
それなのに点数がこのくらいになってしまうのは、完全に好みとしか言いようがない。いちばんの不満はガストンだ。ガストンが嫌なやつに成り下がるのは後半で、前半、どうしてガストンがそこまで嫌われているのかわからなかった。そりゃ鼻持ちならない嫌な男だし、結婚は嫌だろうなとは思うし、押しが強いのはわかるが、そこまで悪人じゃないのだから、誠意を持って断ればいいのに、「娘はやらん!」「あなたとは結婚しません!」とヒステリックに反応するのが何かもったいないなあという感じがした。
いまではディズニーの十八番的なところなのだろうが、「我々には人種偏見がありません」とばかりに様々な人種を起用しているのも、説教臭さというのか、すべてに気を配っている感がなぜだか少々疲れてしまう(これは個人的に、ディズニー全体に言えることでもある)。
同性愛の描写が少しあったり(といってもメインのキャラクターではない)、少しずつディスニーも自ら作り上げた王子様お姫様像を変えようと努力していることはうかがえた。
CGは全体的に見事で、食事の場面はふしぎの国のアリスを思わせるような華やかなテーブルで、とりわけ好きだった。野獣がかわいすぎて、別にこのまま王子に戻らなくてもいいのでは、なんてことも一瞬考えてしまった。
ユアン・マクレガーの歌が聴けて満足だったし、イアン・マッケランなどキャストが豪華だったから、エンドロールを観ていても微笑ましかった。最後まで手を抜きません、ディズニーならね、という気合がうかがえた。歌は、メインのビューティ・アンド・ザ・ビーストを聴かせたいのはわかるけれど、二度聴いただけでもおなかいっぱいになった。

全体的には「エマ・ワトソンがただただかわいい映画」で、それを観れただけでも満足だった。何も考えず、きれー、とたのしめばいいのではないかなと思った。胸を強調する演出には首を傾げてしまったが(あれは監督の趣味だったのだろうか)。