滝和也

暗くなるまで待っての滝和也のレビュー・感想・評価

暗くなるまで待って(1967年製作の映画)
4.0
オードリー演じる
盲目の美しき婦人を
絡め取る罠…

暗闇の決死の攻防が
あなたを恐怖に
落とし込む…

「暗くなるまで待って」

舞台劇の傑作を映画化したワンシチュエーション・スリラーの傑作ですね。主人公が盲目と言う設定やそれによる罠、恐怖を盛り上げるサスペンスが巧みな上質な作品です。

スージーは事故で視力を失ったが写真家のサムと幸せに暮らしていた。だがサムが仕事の帰り、空港で知らない女性から受け取った人形が災いを彼女に招く。人形の中には麻薬が隠されており、三人の男達がそれを取り返す為に、彼女に罠を仕掛けてくる…。

先ず主人公が盲目かつ華奢な女性と言う無力さが際立つ設定がサスペンスを盛り上げていきます。

盲目故に行動範囲はほぼ家の中であり、舞台劇らしいワンシチュエーションに限定された空間。疑われず、その家に何とか入り込み人形の在り処を探したい犯人たち。旦那の友人や警官と偽り、彼女の恐怖を煽ります。

またその嘘を見抜く部分も盲目の方が持つ研ぎ澄まされた聴覚や直感が反映されていて巧みな上に…彼女以外に小さな味方、近所の少女グロリアがいて、彼女がトリックスターとして抜群に効いてます(^^)

クライマックスの盛り上がりも抜群。窮地に追い込まれたスージーそして…こちらも目が見えない故の見事な展開ですし、演出が抜群に恐怖を煽る。ヒッチコックとは違いかなり即物的ではあるのですが、そこは007を監督したテレンス・ヤングらしさだと思います。

またこの作品、小道具の使い方が舞台劇ならではなのか抜群に巧い。前ふりがあってきちんと回収してきます。人形を始め、ナイフ、電話、炎、冷蔵庫に至るまで細かく回収して、あぁなるほどと(^^)

主演は華奢で無力そうで…美しくに相応しいオードリー・ヘップバーン様。確かこの頃アラフォーですが、美しさは変わらない(^^) また盲目の演技、怯える演技と素晴らしかったです。ずっと出ずっぱりですし、彼女の演技なしでは成立しない作品でした。

こちら30年以上ぶりに見たのですが、面白かった。閉鎖された空間で展開されるスリラー、見事なプロットと演出そして演技、楽しめますよ。
滝和也

滝和也