KouheiNakamura

テラフォーマーズのKouheiNakamuraのレビュー・感想・評価

テラフォーマーズ(2016年製作の映画)
3.0
もっぱら悪い意味で話題のSFアクション。
しかし結論から言うと僕はこの作品、好きです。それはなぜかと言われると色々あるんですが…一番大きな理由は監督が三池崇史さんだからですね。
三池崇史監督の最大の持ち味は、ズバリ「悪ふざけ」だと僕は思っています。齢50を過ぎたぐらいなのに、監督作は100本を優に超えているほどに多作な三池監督。その経験を活かした現場進行のスムーズさ、的確なショット選び、個性的な美術…などなど監督としての武器はたくさん持っている方です。その監督力と周りの要素が噛みあった結果、「十三人の刺客」や「悪の教典」や「オーディション」や「一命」などの傑作が生まれたりするのです。他にも近年では「風に立つライオン」、「土竜の唄」、「喰女」などの意欲作も手がけています。
そんな普通に面白く良く出来た映画も撮れる三池さんは、よく映画の中にご自身の悪ふざけ要素を入れたがります。子供向けにしてはやけに生々しい場面が多かった「ヤッターマン」、映画自体が悪ふざけだった「極道大戦争」、企画自体が正気とは思えない「忍たま乱太郎」、下品で残酷なギャグを混ぜた「神様のいうとおり」などなど…枚挙に暇がないほどの悪ふざけっぷりです。
そんなフィルモグラフィーを持つ三池監督が今回挑んだ悪ふざけとは…。

ストーリーはこんな感じです。火星にゴキブリ退治に向かう15人の乗組員たち。昆虫のDNAを身体に埋め込まれた彼らを迎え撃つのは、火星の環境下で異常進化した二足歩行でマッチョなゴキブリどもだったのだ…!
…どうですか?なんとも悪ふざけ甲斐のある題材ではないですか。実際、昆虫の特殊メイクをした伊藤英明ら豪華俳優陣の姿はどう見ても悪ふざけしてるようにしか見えません。脚本もドラマを描くことを放棄しているような作り、アクションもちょっと寄りの画が多すぎてもったいないです。

しかし、しかし。SF漫画の実写映画なんて誰も引き受けたがらないであろう仕事を「俺がやる。」と引き受け、あまつさえ自分好みの悪ふざけ表現をちょくちょく織り交ぜ娯楽映画として見られるレベルに仕上げるなんてことが今の日本で三池崇史さん以外に誰ができるでしょうか?
菊地凛子さんや山下智久くん、滝藤賢一さん等が嬉々として演じているのが伝わってきたり、三池監督作恒例の首チョンパなど見所もちゃんとあります。ゴキブリたちのキモ怖さの表現も良し。アクションや特撮も見られないことはないですしね。(ケイン・コスギはもっと活かして欲しかったですが)

そんなわけで僕はこの映画、好きです。監督の次回作にももちろん期待してます。
KouheiNakamura

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