ひゅうどんこ

パリ3区の遺産相続人のひゅうどんこのレビュー・感想・評価

パリ3区の遺産相続人(2014年製作の映画)
4.0
 「If you don't love me, I shall not be loved.」
作家サミュエル・ベケットの『Cascando』にある二つ目の詩から引用した言葉のようですが、繰り広げられるドラマを象徴しています。

 配役はイギリス/フランス/ベルギー/アメリカ等の演技巧者ばかりですが、大半スクリーンに登場しているのは3人だけ。密室に近い演技合戦ですよ。元は舞台の戯曲なだけに、テキトーなごまかしは効きません。

 パリ3区、、パリの中心地から時計回りの螺旋状に形成された20区画のうち、セーヌ川右岸にあって1区の北東に位置する街。
貴族達の住まいが多く残り情緒ある佇まいを覗かせつつ、商業・芸術の情報発信をしながら多様性にも寛容で且つ治安は安定している地区。
(※2020年、パリ1~4区は統合します。1~4区の住民投票により統合後の新名称は「Centre de Paris (パリセンター)」と決定しています。)
 
 歴史の薫り漂う風情ある街並みに必要最小限の人物達、それぞれの思惑がやがてどう解きほぐされて、思慕へと変わるのか。因縁尽に将来への光ある最良の道はあるのか? パリの風景とともに事の成り行きにちょっとした充足感が得られるかと思います。