ふしみあい

セルのふしみあいのレビュー・感想・評価

セル(2015年製作の映画)
3.6
これぞスティーブン・キング原作!という感じの終わり方だった。
エンドロール後にも音がある。
気分がさらに落ちる笑

今回サミュエル・L・ジャクソンはかなり控えめ。特殊メイクもしてないし、大げさな身振りで声高々に演説もしない。携帯の電磁パルスで人々が凶暴化するのも彼の陰謀ではない。

現代の私たちは携帯がないと生きていけない。もはや携帯やネットの奴隷と言っていいほど携帯電話に依存した生活を送っている。そんな社会で、携帯をもっと身近に、携帯と同化した携帯人という新しい人類が生まれたらどうなるのか…というお話だった。携帯人、人類を超越する新しい存在として描かれていたけれど、事の発端があまりにも急すぎたし、いきなりバイオレンス過ぎた。もうちょい話し合いとかしないのかな!リーダーの存在も曖昧だし…。

確かに地球全体で一つの巨大有機体となるというアイデアは素敵。でもなんとなくふわっとした設定になっててそこが引っ掛かる点だった。ターミネーターみたいにコンピューターが人類を敵とみなしたとか、そういうこじつけでもいいから設定は欲しかったかも。

オチはもうスティーブン・キング感満載で、うわあ…となった。最初から最後までクレイのみた夢だったのか(クレイの描いていた漫画の登場人物が出て来るのとか、この説が有力な気はする。)とか、息子を探しに行くところまでは本当だったのか、とかいろんな解釈ができる。ミストの落ちる感じと少し似ていたけど、こちらの方が観客に疑問を残す余地がある。すごく気持ちは滅入るけど、嫌いじゃない。

携帯人の異常さや大群で押し寄せる恐怖感もよく表現されていた。仲間が少しずつ減っていくのも良かった。あっさりし過ぎているところはあったけど。カメラがめちゃくちゃ揺れたり、ズームインを多用していたり、パラノーマルアクティビティ2を撮った監督だったから、リアルさを出そうという意識が残っているように感じた。もっとパキッとした映像の方が良かった気はする。携帯人の動きとか音とかで十分怖いし。CGもちゃちかったなあ。

色々ツッコミどころはあるしそんなに大きな感情の動きもないけれど、終始ハラハラドキドキするのと、設定の面白さと嫁の登場シーンと最初の空港のシーンは良かった。もともと短めだったけど、70分とかに短くしてもっと要素まとめたらさらに面白かったかもしれない。