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スプリガンのHKのレビュー・感想・評価

スプリガン(1998年製作の映画)
3.4
たかはし宙原作皆川亮二作画の有名なSF漫画を「AKIRA」などの大友克洋が総監督を務め制作されたアニメ映画。監督は「鬼神伝」の川端博嗣。

原作はファンの間ではとても有名で評判の高いといわれるSFアクション漫画で、古代遺跡など、歴史学、民俗学などにも精通するとても奥が深い漫画でもある作品です。

劇場版は超古代文明からのメッセージに従い、あらゆる権力から古代遺跡を保護するために形成された組織アーカムに所属する若きエージェント御神苗優が、何者かに同級生を自爆テロで利用され、その報復とノア遺跡を保護するために上司の説得を無視し、一人アララト山へと向かいます。そこで優は、ノアの遺跡の戦艦には世界を破滅させることのできるほどの膨大なエネルギーが内包されているということを知ります。そしてそのエネルギーを奪おうとするマクドガル大佐と、その手下であるファットマン・リトルボーイと激戦を行います。

この映画の作画班は本当に素晴らしく、特に、序盤のアララト山のテロリストたちとの戦闘シーンは、橋本晋治さんの作画パートが見事なまでに光っています。くせっけのある作画なのですが、立体感を出させるためにあそこまで形を崩すやり方は却って画面にインパクトを出します。

中盤のファットマンとリトルボーイとの戦闘シーンもすさまじいんですよ。ですからかなり好きになる展開だと思いました。実際に物語自体も壮大で素晴らしい。

「ドラえもん のび太の雲の王国」などでもノアの計画とかで人間滅亡させましょう見たいな展開やりますが、マクガトル大佐って天上人と同じ考えなんですかね。鬼畜ですね。

しかし、そんなマクガトル大佐がこの作品の評価を下げる一番のポイントとなりました。

声優さんが酷い。マクガトル大佐の声優が酷い。子供っぽさを出すためにしても舌ったらず過ぎます。見ていて、台詞が喋られるのを見ているだけでなんか不愉快になりました。

最後のノアの箱舟崩壊シーンの作画は、圧巻です。雲の動き、マグマの動き、光の反射、飛び散る岩石、全てを事細かく描いています。ゆえに大画面で見ても迫力のある仕上がりとなっています。ハリウッドで実写化したってかまわないほどのスケールさ。

しかし、全体的なスケールの大きさの割に重厚感とか壮大さは出ていますが、作品のテーマ性がそこまで出ていないのが残念でした。

あと、やっぱりマクガトル大佐の声優さんの演技を差し引いてこの点数にします。
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