てる

リリーのすべてのてるのレビュー・感想・評価

リリーのすべて(2015年製作の映画)
3.6
エディ・レッドメインが美しかった。やはりこの作品の一番褒めるべき点はそこだろう。彼の演技力と美しさがこの作品の肝であり、人気の要だろう。この作品が女性に人気があるのもわかる。1926年のデンマークが舞台であり、その美しい装飾が全体の雰囲気を作っている。題材が題材だけに衣装も凝っているし、画家夫婦が主役なだけあって、常にお洒落な雰囲気が漂っている。
画家という職業の人がどうやって生活しているのかまるで知らない。ましてや1926年の海外のアーティストの生活事情なんて知る由もないが、この作品を観て憧れるのはわかる。そういうお洒落でいて、アーティストでいて、波瀾万丈な生き方をしたこの二人の物語が世の女性たちにうけない訳がない。ましてやその女装が美しいとなれば
、この作品は成功してしかるべきなのだ。
世界で初めて性転換手術を受けた男の話し。彼が、後に続く性に悩む人たちに勇気を与え、今に至る。今やセクシャルマイノリティーやLGBTなどの言葉が世間に浸透し、彼ら彼女らの存在を受け入れている。そう考えると彼の行ったことは偉大である。彼の勇気や信念は尊敬に値する。
でも、この物語を紡いでるのは彼の奥さんだ。ゲルダのことを想うとアイナーは自分勝手なように見える。
いや必ずしもそうとは言えないかもしれない。そんな自分勝手な人に惹かれていたのかもしれないし、彼の女性的な美しさに惹かれていたのかもしれない。リリーを描くことで、収入を得ていたわけだし、この二人の関係性は夫婦という枠組みにはあてはらまないのだう。しかし、常に献身的に彼に寄り添い支えている彼女を観ていると哀れでならない。
女になりたいアイナーと夫婦でありたいゲルダ。この二人の間を繋ぎ止めていた感情とはどんなものだったのだろうか。愛? 友情? 果たして言葉にするのは難しいが、この二人が築き上げた絆は硬いものであった。特にゲルダがアイナーに捧げた愛情は人一倍強かった。なぜそこまで彼を愛せたのかは正直わからない。かなり振り回されている。でも、その献身的なその姿に感動したのは確かであった。
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