俳優さん女優さんの演技がみんな凄まじい。
主人公の岡田くんこと濱田岳の童貞感、対となる存在森田くんこと森田剛のほんとにヤバイ奴感。
そして脇を固めるヒロインゆかちゃんのそこはかとなく漂うビッチ感とムロツヨシの安藤先輩の憎めないおかしさ。
それらキャラクターの魅力が巧みに表現され、ストーリーと相まって絶妙な空気感を醸し出している。
前半のラブコメディからめちゃめちゃ格好いいタイトルコール、そして一気に引きずり込まれる森田くんの闇、闇、闇。
過去の傷から心が壊れてしまった彼のしゃべること、なすこと、全てがどこかおかしくて恐ろしい。
そして全てを見せられている観客はただただ震えるしかない。
舞台となる街や薄暗いアパートの廊下が妙にリアルで照明とかもすごくうまくて、変な人の気に触るようなことは絶対しないでおこうと誓うぐらいだった。
森田剛のどこか達観したような、冷え切った暗い目は、劇中のセリフで言う人間の目ではなく、一切悪びれていないような話し方にもゾワゾワさせられる。V6すごいな。
またラストの夏の森田家のカットや犬のカットがとても苦しい。森田くんの痛みを知っているからこそ、残酷なようだけどより魅力的に悪が輝く。
ラブコメパートのキャラクターの関係性が徐々にサスペンスへと移行していく、その流れが見事。すごい本当に。そのままの関係性で微妙に意味が変わっていく。
バイオレンス描写もすごくて、非常に静かなのに被害者のうめき声や体液の滴る音、体の震える音、息遣いが細かくて、鳥肌がたった。
あと今作の1番格好いい、素晴らしいシーン。セックスと殺人、エロとグロのカットバック。体勢や動作、リンクのさせ方がずるい、すごすぎる！
ただの人殺しバイオレンス映画というのではなく、脚本と各キャラクターの描き方、演出、それら全てが複雑に織り混ざった大傑作だった。
劇場で見たかった…！
