KouheiNakamura

64 ロクヨン 後編のKouheiNakamuraのレビュー・感想・評価

64 ロクヨン 後編(2016年製作の映画)
1.5
前編があまりにも期待外れだったため、ハードルが下がり今回は割と落ち着いて観ることが出来ました。
前編ではほとんど焦点の当てられなかった64事件の真相と、64を模倣した事件の行方が今回の話のメイン。前編では伏線を張るためか色々な話を展開させていてイマイチ気持ちが乗りづらかったですが、後編はメインとなる軸がはっきりあるため前編よりも気持ちが乗りやすく見やすいです。
では後編は前編よりも面白かったのかと聞かれると…残念ながら、答えは否です。

まず話が64事件一本に絞られるため、前編で散々展開された記者クラブと三上広報官の対立が物語上全くと言っていいほど機能していません。正直、記者クラブとの対立部分はカットしても問題なかったのではないかとすら思います。しかも今回の前半部分では前編の繰り返しのような東京の記者たちとの対立場面もあります。この場面は東京の記者たちの言動や態度があまりにも酷すぎて、笑う場面なのかと思ったほどです。
では肝心の64事件の真相部分及びそこに関連したドラマ部分はどうかというと…。原作にはない三上広報官の暴走する場面が全てをぶち壊しにしてしまった印象です。どれほど犯人へ憤ったとしても、私刑を加えるのは刑事のやることではありません。完全に度を越した正義です。

細かい部分の不満を挙げればキリがないので割愛しますが、総じて僕が64という映画に抱いた印象を一言で言うと…ズバリ、「大げさ」です。役者の方々の演技はほとんどが大げさでやりすぎ。緊張のあまり白目をむいたり、感情が盛り上がったらすぐに泣く・叫ぶ・怒鳴る…。正直、辟易します。もちろん、壮絶な感情を表現するのですから怒鳴ったり叫んだり泣いたりすることもあるでしょう。でも、いくらなんでも多用しすぎです。後半は5分おきぐらいに誰かが泣いたり叫んだり怒鳴ったりしてました。しかもそういった場面のカメラはほぼ全て工夫のないクローズアップばかり…。
大げさなのは演技だけではありません。照明、音楽、さらには演出にいたるまでとてもリアリティがあるとは思えないものばかり。

正直、悔しいです。日本映画はもっともっと面白くて、凄くて、繊細で素晴らしいはずです。この映画に出ている豪華キャストの大半はこんな大げさでワンパターンな演技しか出来ないような方々じゃないんです。もっともっと繊細で奥深い演技が出来る方々のはずなんです。
仮にも「映画史に残る傑作、誕生」なんてキャッチコピーをつけてる映画がこんな杜撰な作品になってしまったことが心底悔しいです。
KouheiNakamura

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