Mokkung

モヒカン故郷に帰るのMokkungのレビュー・感想・評価

モヒカン故郷に帰る(2016年製作の映画)
4.0
この映画はオール広島ロケで撮影されていて、主に広島県呉市の下蒲刈島、上蒲刈島、豊島、大崎下島がロケ地となっている上、エキストラも現地の住民を多用しています。そのおかげで非常にリアルな瀬戸内の田舎の雰囲気を作り上げることに成功していると思います。

柄本明がすごい!進行癌の患者を演じているのですが、リアル過ぎてびっくりしました。現実にこういう癌の患者さんいます!歩き方とか、ベッドに横たわっている時の様子は、本当に患者さんかと思うレベルでしたし、時間が立つにつれて病気が進行して衰弱していく様子も、全然わざとらしくないのに、ひと目で前より悪くなったと分からせる佇まいが見事。

沖田監督の持ち味は、オフビートな笑いや少し間の抜けたコミカルな掛け合いによる会話劇で、その中で少しずつ移りゆく人間関係や心情変化を、説明的な台詞は多様せず、表情やちょっとした行動、または小道具や音楽など台詞以外の周辺情報でじんわりと伝えることのように思います。本作もそのような監督の持ち味が生きた映画でした。音楽室での吹奏楽部の演奏シーン、ラッパ少年を車で送るシーン、浜辺でおにぎりを食べるシーンなどは、ちょっとコミカルだけど別に感情を吐露する台詞もないのに、グッと胸に来るものがありました。ただ最終的に亡くなる治の、死に際の一連の件は若干コミカルにし過ぎな気がしないでもないですが・・・。


詳しくはこちらに書きました

https://mokkung.tumblr.com/post/634827100763881472/
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