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セシボンのmaverickのレビュー・感想・評価

セシボン(2015年製作の映画)
4.2
2015年の韓国映画。実在した音楽喫茶「セシボン」を基に描かれる青春物語である。


舞台である1970年代の韓国はフォークソングブームだったらしい。劇中で流れているのは当時有名だった曲なのだろう。ファッション、街並みと、このノスタルジックな雰囲気がたまらない。日本にもフォークソングブームがあった。その世代の人にはたまらなく刺さる作品であろう。そうでなくてもこのノスタルジックな良さは伝わると思う。誰しも若かりし頃があった。過ぎ去った日々を懐かしみ、切なくて涙してしまうだろう。

本作は基本的にはラブストーリーだ。実在した音楽喫茶と、そこからデビューした人気歌手ツイン・フォリオを題材にしているが、物語そのものは大きく脚色されている。そうした架空の物語として観れば感動的で何ら問題はない。青春といえば恋愛だろう。誰かを全力で好きになった青春時代。そんなみずみずしさで本作は溢れている。

キャストが全員魅力的。主人公グンテを演じるチョンウと、ヒロインのジャヨンを演じるハン・ヒョジュの二人がとても絵になる。うっとりと、そして切ないラブストーリーだ。他にもカン・ハヌル、チョ・ボクレ、チン・グなど、個性的で魅力的な面々に釘付けになる。そして20年後の姿を演じたキム・ユンソク、キム・ヒエの二人がまた素晴らしい。二人の年月をしっかり感じさせて泣けてしまうんだよね。こうして見ると歳を取るのも悪くないと思える。


事実と大幅に違う脚色が加えられていることが不評の原因でもあるようだ。それを抜きにしても筋書きが狙い過ぎてるなと感じる部分があり、傑作と呼ぶところまではいかないかなと。ただそうした不満点がありながらも、美しく感動的な物語という印象の方が勝った。本作を観て、昔の自分や好きだった相手を思い返す人は多いと思う。そういう意味でも本作は良作ではないかな。

ちなみに自分も昔、モテたいがためにアコギを練習してました(笑)。良い思い出です。
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