ベルサイユ製麺

緑はよみがえるのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

緑はよみがえる(2014年製作の映画)
4.5
普段思い付きの些末な事しか書けていないので、今作には言葉を失ってしまいます。
これぞ映画。闇にエッチングされた魂。
そもそも普段目に届く映像は全て闇の中の光とその反射に他ならない筈なのですが、この映画に於いては恰も映し出されるそのもの自体が発光しているようです。存在を保つために命そのものを燃やしながら。不自由な身体に縛られながら、野生の自由な魂に想いを馳せる兵士の瞳は虚ろに光ります。
一転、任を解かれ雪上を進む兵士達の姿は、光の中で掻き消される運命の、只の染みの様に見えてしまいました。美術には疎いので的外れかもしれませんが、ジャコメッリの写真にも似た、冥界から見降ろす様な儚い美しさを感じてしまいます。

研ぎ澄まされた表現の手段とその目的が、寸分違わず重なり合った時、最早ストーリーなどは過剰なのではと思わされました。

絶望に取り憑かれたまま凍結された命への鎮魂歌。圧倒的です。