カテリーナ

AMY エイミーのカテリーナのレビュー・感想・評価

AMY エイミー(2015年製作の映画)
3.8
エイミー・ワインハウス
彼女の歌声は天まで届けよとばかりに突き抜けるようなハスキーボイス
一度耳にしたら忘れない

でももう その歌声は響かない
たった27年の生涯だったエイミー
生前の彼女の貴重なプライベート映像や
レコーディング風景などで綴るドキュメンタリーである
何故、彼女は27歳という若さで逝ってしまったのか
2007年に、ミュージック・ビデオの撮影アシスタントである4歳年上のブレイク・フィールダー・シビルと結婚
彼との出逢いによって彼女の運命は大きく変わってしまった

何故エイミーはブレイクという男にこうまで執着するのか
女も男も恋愛している時は周りが見えなくなる 二人だけの世界にこもってしまう
端から見て最悪の相手でも本人だけは
この世でただひとりの人にしか見えない

例えば力ずくで引き離そうとしても
不可能なのはわかる
かえって逆効果だ

そもそもブレイクがどんなに最悪な男か
女を不幸にする男だからだ
見た目は少しワルそうな甘いマスク
確かに不良っぽい男はモテる
でも不良とクズは別物だ
間違いなくブレイクはクズだ

本当に愛していたら精神も肉体も
確実に蝕むクスリなんか教えない

そしてその力で彼女を縛ったにも拘らず
自分だけが彼女の理解者だとうそぶく
ブレイクを想って作った『Back To Black』にはディックが濡れたまま女の所へいったと唄っている 価値の無い男だ

その曲を収録した2006年に発表した2ndアルバム『Back To Black』が
世界的なヒットになり
グラミー賞を獲得した頃からはパパラッチに追い回される日々が待っていた

常にカメラのフラッシュを浴び私生活も何も失った頃から 痩せ細ってくる
健康的でチャーミングだったエイミーの面影もない やつれた姿が痛々しい

普段は控えめなエイミーも堪らず
パパラッチのひとりに殴りかかるシーンがある 彼女を追い込んだ原因は
此処にもあると思った
ひとりだけで追い回す訳でなく何人も
仕事という大義名分の元にやりたい放題の
パパラッチだから始末が悪い
山下達郎の曲にもあったが「生きようが
死のうが御構い無しさ」
誰よりも多く1枚でも多く写真を撮ることに命を燃やす連中だ
その行為が被写体の命を削っていようと
御構い無しなんだ

エイミーが若すぎる人生を閉じた理由は
少なくともこいつらにもある
なんの罪にもならないが、誰も文句も言えないが この映画を見て激しい憤りを感じた
のは確かな事実だ

確かに薬物の過剰摂取は本人の責任だ
だがそこまで彼女を追い込んだ責任は

そんなものは無い?
どこにも存在しない?
ただ、ジョークのネタにされておしまい?

嫌、私は違うと声を大にして言いたい
責任は奴らにもあると
カテリーナ

カテリーナ