おおさこ

たかが世界の終わりのおおさこのネタバレレビュー・内容・結末

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

THE家族喧嘩

グザビエ・ドランの新作でカンヌグランプリという事で新宿武蔵野館にて鑑賞して来ました。劇場は満席状態で監督の人気の程か窺えます。

タイトルは厭世観ムンムンかつ、かなり大仰ですが、要は家族喧嘩のお話でした。原作は『まさに世界の終わり』と言うタイトル。世界の終わりの念押しですね。

で、物語は家族と故郷を捨てて成功した男が12年ぶりに『僕はもう死にます』と言う告白の為に帰郷して・・・と言うモノ。
空港からいざタクシーでお家へと向かいますが、ラジオから流れる曲は ♩家は傷を癒す港じゃないよ〜♩(てか、パねぇー事になるぞ!)と仰っております。そして、家族との久々の対面となりますが、とりまタクシーで来るなんて贅沢!と罵られ、家族喧嘩の火蓋は切って落とされました。家族と言う事でお互いアンストッパボー状態となり、収拾がつかず早くも『世界の終わり』感漂う状況に。。そんな中でも主人公を除いて唯一冷静に振舞い味方してくれたマリアン・コティアール(お兄ちゃんのお嫁さん)の存在がありがたや。主人公とマリアンの会話の切り返しだけが、お互いに肩ナメのショットだったのが初対面なのにしっかりと絆が芽生えてる感を醸してる様に感じました。フランスの猛獣ことバンサン・カッセルはイライラしながら終止窓の外を向き、レア・セドゥーはソファーにゴローんでした。マリアンは主人公に敬語を貫きますが、その姿に親しき仲にも礼儀あり!の精神を勉強させて頂きました。


ここからネタバレです。

名優たちが演じていても家族喧嘩をずっと見せられてもなー、と少し退屈していたのですが、ラストにはビックリしてしまいました。所々で挟み込まれていた鳩時計のカット(やたらとカッコ良い)がまたもや登場。で、鳩時計がポッポしてると外からリアル鳥が闖入してバタバタ暴れます。その後にカメラは結局なんの告白も出来ず玄関を後にする主人公の後ろ姿を捉えて、そのままチルトダウン。で、そこに床に落ちた鳥の死骸(←に見えたけど違う?)を映し出して、カット!エンドロール。
つまりは、鳩時計(主人公の残り時間)+鳥の死=主人公の死...的な感じなのでしょうか???
主人公が帰る前に1番の大喧嘩があるのですが、その時は窓の外は物凄いゲリラ豪雨!そして喧嘩が終わる頃には物凄い夕陽で家の中はオレンジ一色になっていました。
主人公のかつての恋人との回想も途中で描かれていたのですが、そのシーンもマジックアワーの様な綺麗な夕陽のオレンジ色でした。後で主人公はその恋人が死んだ事を聞かされます。つまりこの映画でのオレンジ色は死の象徴??

なのでこの映画は、主人公は告白するどころかむしろ家族といた頃の自分の死(世界の終わり)と共に、再びを家を出るお話なのかなぁーと思いました。


ホントはこう言う話しだよ、ともう観た方がいたら教えて下さい🙇🏻💦