うみぼうず

ディーパンの闘いのうみぼうずのレビュー・感想・評価

ディーパンの闘い(2015年製作の映画)
3.5
解放の虎 強い。
という感想以外の部分の方が本作の目指したテーマであるのかなぁ。スリランカ内戦の難民が見知らぬ土地で擬似家族としての絆を深めていく。だけど暴力はどこまでも付きまとってきて…とシンプルに言ってしまえばそれまでなんだけど、家族3人がいい意味で洗練されてなくてリアリティを築くことに成功している。
失礼ながら美人過ぎずイケメン過ぎず、どこにでもいそうなスリランカ人家族だから、ドキュメンタリーのような現実的な展開を補強してくれる。

フランスの難民問題も行間で示しているようで、詳しくはないけどブラヒムという名前は恐らく彼も難民なんだろう。ヤリニはイギリスへ行くことを夢見るが、仮に舞台が変わってもIRAなどのテロや暴力はどこまでも広がっているのではないか。ヤリニの頼るものも非常にか細い綱渡りである。

さらにはディーパン達は暴力を避けて逃げてきた先での解決手段が暴力であったこと、暴力からは逃れられないのか。
そういう意味ではラストは果たしてハッピーエンドなのか?とも思わざるを得ない。幻想理想なのか、それとも現実なのか。

暗闇に光る耳や時折挟まれる象など、映像面は好きな部分も多い。静かな銃撃戦、派手ではない発砲音などから戦闘のリアルさも凄く感じる一方で、少しモヤモヤが残る作品でした。
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