FumiyaIwashina

サウルの息子のFumiyaIwashinaのレビュー・感想・評価

サウルの息子(2015年製作の映画)
3.3
収容所で働くユダヤ人のサウルはゾンダーコマンドとして、ガス室での死体処理などを行うが、息子が殺されるところを目撃した彼はせめて埋葬だけは行おうと危険を冒して聖職者を探す。
序盤のシャワー室のシーンで一気に胸が苦しくなり、ピンボケの死体の山が肩越しに見えるなどなかなか軽い気持ちでは観れない映画。
ゾンダーコマンドとして労働力と見られているサウルは何度かリスクを冒してもその場を切り抜けるが、彼のように身内の死体を見つけたり、いつ殺される順番が来るかわからないという恐ろしさもあり、当時の酷さが映画全体から伝わってくる。
ただし、映画としては長いカットのシーンが多く、基本的にサウルの背後からの映像になっているため、彼の後頭部や背中の印象が強く独特な仕上がり。一方、この手法により観ている側もまるでそこにいるかのような感覚になるという効果はあった。