YukiSano

ロブスターのYukiSanoのレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
3.8
人間なんて1度動物に戻ってやり直せば良い、と本気で思ってそうなヨルゴス・ランティモス監督作。

野蛮と無垢なる人の境界線はなく、愚か者と賢者も等しく醜い。動物から人間に進化するのか、人間から動物に退化するのも等しく作品に詰め込む。

女王陛下も家畜みたいな扱いを受け、人造人間も元々は家畜扱いだったことを知る。

全く真人間など登場せず、希望も描かないが微かに残る情が哀れな人間の宿業を滲ませる。

愛が無ければ罰せられる世界なのに、誰もが本当に愛し合うことの意味を見失った世界だからこそ、本物とは何かを考える。

これは意外と真っ当な恋愛考察映画なのではないかと気付いた。「籠の中の乙女」のヘッドホンの中だけで流れる音楽よりも、今回はイヤホンからラブソングが漏れ聞こえてきたからこそ、当人たちのみに通じるロマンスが垣間見れたから。
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