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人生タクシーのmingoのレビュー・感想・評価

人生タクシー(2015年製作の映画)
3.6
東京フィルメックス2015ラスト上映作品。ベルリン金熊受賞作品。
「白い風船」(未見)間違いなく素晴らしいはずだし、監督自らタクシー運転手になって、乗客と対話していく形式なんて面白いに決まってんじゃん!て岡田ゴズリングと共にワクワク楽しみ意識高めて挑んだが、観終わってお互いの顔見合わせて、うーん。。。
正直肩透かしをくらった感はある。

「私たちのハァハァ」みたいな駄作などのフェイクドキュメンタリーて言葉で片付けるのは申し訳ないけど、ドキュメンタリーなのかそうでないのか(これは徐々に明かされていく)、ていうことに鑑賞者の注意を引きつつ、テヘランの人々の会話を緩いユーモアを交えて捉え、所々で監督の映画に対する表現への情熱や、体制に対する盲従への鋭い批判が漏れだす仕様に移行する流れは実にスリリングだった。

今回の映画祭で新作をマークしなくてほんとに良かったと思ったのは侯孝賢の神がかった2本を観たことによる映画の奥深さとシンプルさの強度を体感した2日間だった。あれやこれやしなくても面白いものは撮れるし、映画もデザインも引き算なのだとつくづく感じた。
少し話が脱線したが、「観たい(求めている)映画ではなかった」というのが率直な感想だろうか。もちろん悪くはなかったし、試みも面白いのだが、強烈なラストは個人的に?だった…

しかし製作費なんかほとんど無しでアイデアと技術を駆使し、これだけの作品を撮りあげてしまう才能は稀有。
ジャファルパナヒ自演乙です。
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