休業中の銭湯で長女とふたりで暮らす双葉(宮沢りえ)は、末期ガンの宣告を受ける。
ここからの彼女の行動力というか、パワーが半端ない。
・失踪していた夫を呼び戻し、銭湯を再開する。
・夫の腹違いの娘(次女)の面倒も見る。
・長女に産みの親の存在を明かし、再会させる。
・音信不通だった自分の母親も探し当て、会いに行く。
…これらの過程で、興信所の調査員の父子やヒッチハイカーの青年なども巻き込み、血のつながりの有無など問題にしない、強固な絆の”家族”を形成していく。
彼女を突き動かしたのは、”死期”というタイムリミット。
ニンゲンって、タイムリミットが無いと、がんばれないのだろうか。
締切とか納期とかが設定されてないと、宿題とか仕事を一生懸命やらないもんねえ。
でもホントは、我々全員に”死”というタイムリミットがあるはずなんだよね。
はっきりと日時を特定できないから、無いふりして「つまんね~」とか「だりい~」とか不満だらけで生活してるけど、リミットがあるのは同じなんだからこの映画の双葉みたいにヴァイタリティを持たないと。
リミットがあるのはシビアだし、寂しくもあるけど、終わりがあるからこそ楽しい、がんばれる…とも言える。
映画だって終わりがあるから面白い。延々と続く映画なんて、たぶん退屈。
リミットが誰にでもあることをもっと意識して生活してみよう…って思わせてくれる作品でした。