あなぐらむ

イコライザー2のあなぐらむのレビュー・感想・評価

イコライザー2(2018年製作の映画)
4.1
静謐なハードボイルド。
野蛮な街を、善など無く、不運しか無い哀しみの街を、その中でも高潔な騎士であろうと、人々を救っていくロバート・マッコール。
彼が最後に救ったのは、自分自身なのか。
複線綾なす物語を過不足なく描き、詩情溢れる現代の西部劇。砂塵の代わりに雨と海の大きな「うねり」がマッコールの怒りを表す、名匠フークアの横綱相撲だ。デンゼル・ワシントンの存在感、演技力、エンターティナーとしての素質を全て余す事なく伝えている。

孤独についての映画である。人の死についての映画でもある。死を忘れられた者は二度死ぬ。人の意識の中にあれば、死してなお人は生きていく。
殺伐とした、差別や不遇の蔓延る世界で孤独を生きていく為に必要な何かを、ブラックアメリカンであるフークアは美しい映像を紡ぎ見つめる。
前半のさらりと点描されたものが後半のあちこちで組み立てられていく巧緻な脚本と、丁寧に描写されるアメリカの階層社会、そして歴史。
人生は選択できる、するべきだという事を、フークアは声高ではなく静かに伝える。死者は忘れられなければ、二度は死なないのだ。

一作目を見ていなくてもそこから楽しめる事。それは続編映画としての必要条件だろう。
本作はをクロエ・グレース・モレッツを起用した第一作で「タクシー・ドライバー」のリフレインのような物語を紡ぎ、この二作目で文字通り「タクシー・ドライバー」を素材にして昇華した。第三弾の契約が決まったというニュースは喜ばしい。