tetsu

イコライザー2のtetsuのレビュー・感想・評価

イコライザー2(2018年製作の映画)
4.5
史上最強の二本立て上映館"シネマ神戸さん"にて前作に続けて鑑賞!!

前作のその後、
街の人々を守るタクシー運転手として、密かに活動を続けていた"マッコール"
そんな彼のもとにCIA時代の上司であり、親友でもあった"スーザン"が殺されたという知らせがやってきて...。

二本立て上映のため、最初は一作目からだと無意識に思いこんで観ていると、オープニングで謎の違和感。
「こんなシーンあったっけ?」とタイトルを観た時、やっと本作が2作目であることを理解しました...。(←2本立て上映あるある。笑)

冴えない親父が少女を救うハードアクションだった前作から、今回は街を守るヒーローものへと路線変更。
意外や意外、それが大成功で、様々な人物を助ける"マッコール"の活躍がオムニバス形式で描けるようになったことは、さらに充実した物語へと貢献していました!
"死"というテーマで共通する複数のエピソードが意外な所で絡み合う展開は絶妙というほかなく、本作が持つテーマ性をより多面的に深掘りしたと言えるでしょう。

また、前作では悪役の魅力も作品の大切な要素でしたが、今回もその点はバッチリ!
というか、前作以上に見事な悪役となった"彼"は、まさに選択を間違った"マッコール"であり、善と悪が表裏一体で境界が曖昧であることを考えさせられる名悪役だったように思います。
(また、そんな彼が悪に染まる原因として、"マッコール"の過去が関係しているというのは、よく考えられた脚本でしたね。)

ところで本作、
何といっても注目してほしいのは、マッコールの近所に住む黒人青年の存在。
彼は前作のクロエ・グレース・モレッツに続き、マッコールとの出会いで人生が変わる「未来ある若者」として描写されましたが、なぜ、黒人青年へと変わったのでしょう?

実は本作、『イコライザー2』(と前作)は、知っている人も多いかもしれませんが、1985年から約4年間放送された同名ドラマ(日本版タイトルは『ザ・シークレット・ハンター』)のリメイク。
そこでの主役が"白人"の初老男性だったのに対し、本シリーズでの主人公は"黒人男性"へと変わっていました。
その結果、この新シリーズが密かに孕んでいた人種の違いという変化は、今作の"黒人青年"の登場で、より浮き彫りになったのではないでしょうか?

劇中、周囲の影響によって悪に染まろうとする黒人青年に対して、"マッコール"は選択する機会を与えます。
「人種差別を言い訳にするな...。」
非情にそれを訴えかける彼の姿には、
ハリウッドの第一線でステレオタイプ的な黒人イメージを是正しようとしてきたデンゼル・ワシントンさん本人の、心の声が重なるようにも感じました。

というわけで、
『アメリカン・スナイパー』を彷彿とさせるクライマックスの嵐吹き荒れる中での銃撃戦の迫力はもちろん、
前作とは違い"指輪"をつけたマッコールが「読むべき100冊」の残り数冊を読んでいるシーンに涙腺が緩む*、
アクションだけでなく、「人の死が何をもたらすのか」をも考えさせられる見事な娯楽作品でした!

*亡くなった妻と共に読書していると思うと...。泣

参考
THE EQUALIZER FAN PAGE - ザ・シークレット・ハンター ファンページ
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Cinema/3517/index.html
(いまや、海外版ソフトしかないため、本編を観ることが難しいドラマ版ですが、このファンサイトからその内容を窺い知ることはできます。)

デンゼル・ワシントン - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%83%B3%E3%82%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3
(あくまでwikiの内容は全てが正しいとは言い難いですが、デンゼル・ワシントンさん自身が、様々な人種的な問題を経験をした上で出演作品を選んでいるのは確かな様です。)

『イコライザー2』にマッコールが読んでいた本の名前と概要についてまとめ | Kazuログ
https://kazuhand2017.com/movie/iko2_book/
(確認用に貼っておきます。)
tetsu

tetsu