牛猫

ハッピーアワーの牛猫のレビュー・感想・評価

ハッピーアワー(2015年製作の映画)
4.2
友人同士である30代後半の女性4人とその周囲の人々が織りなす、複雑な人間関係を描いた話。

基本的には「PASSION」と同じ。
家庭に仕事に恋愛に、それぞれの価値観を持った相容れない人たちが、お互いを理解しようとしたり、しなかったりしてぶつかり合う。そんな日常を切り取るだけでこれだけ面白くできるというのが、実に興味深い。セリフのリアリティも秀逸。

とにかく最初のケーブルカーのシーンから、ピリピリしっぱなし。それなりに年齢を重ねてきた大人とはいえ、何がきっかけでそれまでの関係に綻びが出るのかが分からなすぎて、ドキュメンタリーチックなのにサスペンスフルというカオスな空気感。

ほとんどの役者が演技未経験の素人というのも、この独特の空気感を作るのに一役買っていたと思う。
序盤の怪しいワークショップとか、終盤の朗読会とか、普通の映画だったらサラッと流してカットするような場面も、全部そのまま流すのが新しい。正直退屈だったし、脱落しそうになったけど、その後の打ち上げへの振りと考えれば納得できた。
ただ、途中バスの中での女の人の話は面白かった。自分も同じバスに乗って話を聞いているような気分になった。

浮気も離婚も本人たちの問題だし、周りがとやかく言うことじゃないと思うけど、周囲の人に八つ当たりしたり、子どもを巻き込むのはよくないと思った。

5時間超の長尺だけど、いつまでもこの映画の空気感に浸っていたくなるような、とても魅力的な映画だった。
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