KouheiNakamura

ちはやふる 下の句のKouheiNakamuraのレビュー・感想・評価

ちはやふる 下の句(2016年製作の映画)
3.5
「荒ぶる」から、「千早振る」へ。今回の下の句ではその変遷が一つのテーマになっているように思う。シンプルにスポ根映画の王道を行く作りだった上の句から一転、下の句では青春の影の部分=中々上手くいかない現実が上映時間の大半を占める。前作では天真爛漫だった千早は大いに悩み、かるた部のメンバーもそれぞれに思い悩む。そして迎える全国大会…。

二部構成にしたからこそ、上の句と下の句を違う映画にしたかったという監督の意図はよく分かる。分かる、が…そのせいで前作の上の句から失われたものが多いのはなんとも歯痒かった。全体的に上の句よりも納得のいかない展開、脚本上の粗も多い。特に北央メンバーから千早が譲られる秘密のノートの扱いの悪さ、吹奏楽部関連の雑さは致命的。また説明台詞の多さも気になった。
今作を鑑賞した後に原作漫画も読破したが、原作を読むとより惜しい印象は増してしまった。現在31巻まで続いている漫画を二時間の映画二本にまとめるのは相当難しかったのだろうとは思うが…。

もちろん良い部分もある。クイーン若宮詩暢役の松岡茉優はハマリ役だし、クライマックスからラストにかけてのカタルシスも素晴らしい。
ただ、結果として今作は「千早振る」だった上の句から「荒ぶる」作品になってしまったように思える。続編も作られるらしいので、より進化したちはやふるが見られることを期待して今回は少し点数低めにつけておく。

あ、続編では原田先生がかるたをする場面が見たい!原作を読んで、より一層その気持ちが強くなった。また、続編成功の鍵は周防名人のキャスティングにかかっていると思う…。
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