KouheiNakamura

ペットのKouheiNakamuraのレビュー・感想・評価

ペット(2016年製作の映画)
4.0
マッド・マックスwithフレンズ 怒りのバニー・ロード。

く、狂ってる…!
怪盗グルーシリーズで一躍名を轟かせた、イルミネーションスタジオの新作。飼い主がいない時、ペットたちは何をしているのだろう?ニューヨークの街を舞台に、ペットたちの大活躍を描いたアクション・コメディ。前半はいわゆるペットあるある(やたらボールに反応する犬とか、レーザーポインタ追いかける猫とか)や飼い主がいなくなった途端に好き放題やるペットたちの姿で笑わせつつ進行していく。この辺は予告で出来たイメージ通りで、素直に楽しい場面だ。
しかし、映画が進むにつれて様子が変わってくる。一応の悪役であるウサギ、スノーボール。まあ〜常軌を逸してます。ヤバいやつです。こいつが登場する場面は大体おかしいです。大蛇の場面のカオスっぷりとか凄いです。笑ったけど。

じゃあスノーボールの場面以外はまともなのかというと…そんなことはないのがこの映画の凄いところ。いわゆる伏線回収なんて気の利いたことはしない脚本。あれ?あいつのあの話はどうなったの?という箇所が頻発します。メインのプロットだけ見るとトイストーリーみたいな話になってもおかしくはないのですが…そんな場面はサラッと流します。テーマらしいテーマや深読みが必要な場面もほぼ皆無。見たまんまです。
ではつまらないのかと聞かれると…答えはNO!!とにかくアニメーションの原初に立ち返ったようなペットたちの個性的なアクションを見ているだけでも楽しめますし、破茶滅茶でハイテンションなギャグの数々もキレがあります。

ディズニーが完成度の高さで王道を行き、ピクサーが新しいことに挑戦し続けながらも熟練の技を見せる中、イルミネーションは脚本の辻褄合わせではなくアニメーションとしての大らかな面白さを提供する。CGアニメーション製作会社、三社ともそれぞれの個性で頑張っていってほしいですね。
尚、今作で一番狂っていた場面はウインナー王国で間違いないと思います。

いわゆるよく出来た脚本のアニメに疲れた方々へ…オススメです。
KouheiNakamura

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