日尭太郎

スパイダーマン:ホームカミングの日尭太郎のレビュー・感想・評価

4.0
MCU作品。シビル・ウォーでも活躍したスパイダーマンの物語。
トニーに認められたいピーターは、アベンジャーズで活躍する事を夢見て密かにヒーロー活動を続ける。

学園ドラマとしてはピーターが二重の生活をすることで、
彼自身とヒーローとしてのギャップを描けている。時に苦しい描写もあるが、前のシリーズとの差別化を図ってか軽め。

主人公も市民ならば、敵のバルチャーも市民の一人であり、後半なんてことない家族の父親だとわかる。
根本的には情が深い人間であり、だからこそ殺すとなれば部下でも娘の恋人でもやるという意思が敵ながらグッとくる。
対するピーターがアベンジャーズになりたい一心から隣人の平和を守るものに成長していく。
だがオリジンについて過去作でさんざん語られていたため省略されていて、ピーターの動機が少し伝わらないのは気がかり。

ヒーローと実名が一致している他のヒーローに比べて、二重生活という特異性があるピーターのドラマは、
学園生活の危機とスパイダーマンとしての危機がリンクしており、両立の為の緊張感が常にあある。
とりあえず「間に合うかどうか」というシチュエーションでサスペンスを作ろうとする。
ダンスパーティーに間に合うか。クイズ大会に間に合うか。だいたい間に合わないが、何やかんや許されるのはピーターの人間性か。
しかし、そこでバルチャーが恋人の父親と明かされるシーンは学園を取るかヒーローを取るかという選択肢を突如浮かばせる点でかなり良い。

バルチャー自身も、デザインが怪鳥と呼ぶにふさわしく、まるで目のような翼のファンがとても怖い。
スパイダーマンが追いかけていたバンに飛びかかろうとする瞬間に爪でピーターを捕まえて上空に舞い上がる登場シーンが好み。
ピーターを車の中で問い詰めるシーンも優しい父親から怖い男としての落差が働き、ギャップの良さがある。
日尭太郎

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