日尭太郎

キャッシュトラックの日尭太郎のレビュー・感想・評価

キャッシュトラック(2021年製作の映画)
4.1
ガイ・リッチーとジェイソン・ステイサムが久しぶりにコンビを組んだクライム映画。

現金輸送専門の警備会社にある日一人の男が入社してきた。
合格ラインギリギリの入社でありながら、異様に落ち着いた振る舞い。さらに彼は入社早々に仕事中に遭遇した強盗を難なく一掃してしまう。
さらに、他の強盗は彼の顔を見た瞬間に逃げ出す始末。正体不明の男はなぜ、警備会社に入社したのか。

異様に強い謎のジェイソン・ステイサムの異様な行動と、それを取り巻く人間達のサスペンスが描かれる。
なんというか、非常に惜しい作品だった。コンセプトと開始は非常に上手く、引き込まれる。
主人公もジェイソン・ステイサムだから堂が入ってて格好いい。
相変わらずの仏頂面にイギリスジョークを織り交ぜたシブみ、望まれているステイサムが画面たくさんに広がる。
しかし、主人公がどういう行動原理で動いているかの理由は中盤早々に明かされる。
それが割とストレートに従来のステイサム映画っぽく、ガイ・リッチー特有の時系列シャッフルで独特に仕立て上げたような印象。

無論、これでも十分に面白いのだが、やはり最初の期待値からすると主人公の目的が最後まで明かされず、
観客を翻弄しつつ最後の最後でどんでん返し……というような展開を望んでしまう。
しかし、死んだような目で「悪霊のよう」と称されるガチ強のステイサム、
観客目線から離れた彼がどれだけ不気味で恐ろしい存在に見えるかを再確認できる意味で一種のメタステイサム映画として楽しめるかもしれない。
日尭太郎

日尭太郎