日尭太郎

モスル~ある SWAT 部隊の戦い~の日尭太郎のレビュー・感想・評価

3.7
ザ・ニューヨーカーに記載された記事を元に制作された戦争映画。
ISとの戦闘中にSWAT部隊に救われた新米警官カーワは、そのまま部隊長にSWAT部隊に編入させられる。
本来の任務から外れているらしい彼らの目的が明かされないままなし崩し的に行動を共にするカーワに戦場の過酷さが襲いかかる。

事実に基づいた話である今作は、ドラマティックな演出を殆ど廃してドキュメンタリー的な構成に仕立て上げている。
なので、伏線と呼べるような丁寧なものはなく、格好いいアクションなんかもない。
敵も味方もあっけなく倒れていく。中にはフレンドリファイヤで倒れる兵士もいる。ただただ無情で乾燥しきった戦場の様子が淡々と描かれる。

そんな映画であるので、わかり易い見どころという所もなく、正直眠たい所もあるといえばある。
こう言うのもなんだけど、本当に過酷でリアルな戦場というのは外から見ると「眠たくなる」。
息を呑むのは最初だけで、後はその代わり映えのない無味乾燥さに荒んで飽きてしまう。

だからこそ、ラストで彼らが命令を無視してまで遂げようとしてきた目的がとても色づいて見える。
そして、カーワが次の戦いに決意を確かにして終わるラストも、明確な終わりが定められていない戦場のリアルを印象づけてくれる。
日尭太郎

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