日尭太郎

モービウスの日尭太郎のレビュー・感想・評価

モービウス(2022年製作の映画)
3.7
名医であるモービウスは幼い頃から侵されていた血液の病気を治療しようと、コウモリの血を利用した血清を使用するが、その際にコウモリに由来する超人的な力と吸血衝動に駆られる事になった。

SONYのマーベルユニバース、ヴェノムに続くヴィランの誕生譚。

人を喰らう衝動があるという意味ではヴェノムに近しいモービウスだけども、描かれる内容は明るめのヴェノムとは正反対のダークでホラー。
MCUとは別ユニバースでありながら、あちらのスパイダーマンにより、隣合わせの世界である事が判明したお陰でこのモービウスも単体作品でありながら後々のクロスオーバーを予感させ、むしろそちらの方が楽しみなところも大きい。

裏を返せば、話そのものは及第点ではあるもののありきたりな印象は否めない。
己の吸血衝動に苦しみ、葛藤するモービウスはMCUの真っ当なヒーローではあり得ない陰影が濃い人物であり、その点では目見張るものがあるが、話の流れそのものは旧来的なアメコミ映画で、唐突さとか程よい雑さを楽しめるのは懐かしい気分で、昨今の重厚化したアメコミ映画に対する清涼剤のようなさっぱりとした味を楽しめるという意味ではMCUとの差別化は出来ているかもしれない。

とはいえ、単体で終わる作品でもなくユニバース化が前提である以上、今後の事を考えればもっと肉付けが欲しいという気分も事実。ラストで出てきたマイケル・キートン演じるヴァルチャーの再登場はブチ上がったし、今後どのようにMCUやヴェノムと関連付けられていくのか。5月公開のドクター・ストレンジ2も合わせて期待感が高鳴る。
日尭太郎

日尭太郎