踊る猫

エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中にの踊る猫のレビュー・感想・評価

3.4
村上春樹『風の歌を聴け』のような映画だと思った。初っ端からザ・ナックの「マイ・シャローナ」を持って来て、パンクやディスコを流しながらこちらを軽やかに引きずり込む。スジとしては散漫に過ぎると思ったので点数は低くなってしまうのだが、監督がやりたいことは分かる。つまり監督は人物ではなく当時の空気、あるいは「青春」それ自体を描きたいのだ。だからダラダラとした野球の練習やナンパ、泥酔した場面などが挿入される。それを受け容れられるかどうかは観衆次第だろう。『風の歌を聴け』との相似もそこに見い出せる(『風の歌を聴け』も当時の空気を描くような映画であり、享楽的な中にあって何処か醒めた感覚すら感じられた)。今を大事に生きろ、という監督のメッセージは青春を過ぎてオジさんになってしまった今の身からするとほろ苦く感じられる。そのほろ苦さには唸らされる。私自身の学生時代を振り返ってしまった。
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