K助

インパクト・アースのK助のレビュー・感想・評価

インパクト・アース(2015年製作の映画)
1.2
「ほへ〜、良く出来た自主制作映画だなぁ。…え? これマジもんの映画? ガチで!?」

というような内容でした。こんな作品の制作にお金を出してくれる奇特な人が、世界にはまだいるんだね、と妙なところで感動。

隕石の地球衝突を警告したNASA勤めの主人公。しかし隕石は地球との衝突軌道を外れ、その警告は単に自暴自棄になった人々の暴動を生んだだけとなった。そして8年後、NASAを放逐されて嫁とも別居、三流大学で宇宙物理学(?)を教える主人公に、美人な教え子が地球衝突を懸念される小惑星の存在を告げて…。

主人公が最初にどん底へ落とされるのは、『ジオストーム』でもお馴染みの手法。まあ、主人公が規模も力もある組織に所属していたのでは、ガチで隕石の地球衝突を避ける為のお話を作らないといけませんからね! そんな予算も、脚本を書けるスタッフもいませんし! キャストの少なさも、驚異的なレベルです。

さて、普通のディザスタームービーかと思いきや、別居中の妻と、大学の教え子が自分を取り合う三角関係を描くラブコメ映画でした。
いや、違うな。ラブコメというほどには三角関係が描けていないし、ディザスタームービーというほどには災害が描写されていない。なんとも中途半端な出来です。

まあ、主人公と息子(妻に連れられて別居中)との関係は良好ですし、離婚届を突き付けて一軒家を乗っ取った妻もまだ主人公に未練があるようですし、大学院生の教え子は主人公にラブラブですし、映画にありがちな、主人公を取り巻く人間関係にストレスが溜まる、というものでなかったところは良かったと言えます。
でもねー、それならば、極限状態に置かれた人間の感情にフォーカスして描きましょうよ。それが無理なら、三角関係をもうちょっと描きましょうよ。少々鞘当てした程度で終わってしまって、おじさん本当に不満です! 教え子役の女優さんが美人だっただけに!

そんな不満を抱かせるくせに、この手の映画のお約束である「身勝手で暴力を振るう人々」はしっかり出演していて、なんと3組も出て来ます。出て来ますが、彼らは単に一過性の暴力でしかなく、ストーリーに何ら寄与しません。予算はないし、時間稼ぎはしなきゃならないし、という都合で出て来た説を、僕は唱えさせていただきますネ。なんなんだかなぁ…。

そして、最近の映画ではお馴染みとなったCGですが、本作でもガンガン使われています。んが、主人公家族が乗る車から30cmも離れていないところに隕石の破片が着弾しても車にはスス一つ着かず、その破片の着弾でガンガン道路が壊されているのに、主人公たちの後ろから平気な顔して別の車が走って来るに及んで、おいお前、ええかげんにしぃやぁ〜、とスタッフを小一時間問い詰めたい。

地球破滅の危機を回避する方法も、主人公の友人で衛星電話会社を経営するおじいちゃんが独自に打ち上げていた、物理的打撃で隕石を逸らす装置を積んでいた人工衛星のおかげで解決! めでたし、めでたし、という適当さ。

教え子の美人さで0.2点プラスしますが、お金を払って観たとしたら、発狂するレベルの内容でした。いや、僕の貴重な二時間を浪費された現実に発狂しても、仕方がない風味。
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