カテリーナ

ディストラクション・ベイビーズのカテリーナのレビュー・感想・評価

3.3
喧嘩を映画で見せる時
かつてこんなに胸糞悪く描いていた作品があっただろうか
真利子哲也監督の作劇は得体の知れない
底なしの暴力の恐ろしさだ

柳楽優弥の体現する役柄は
着替えることも住むところも持たず
日々喧嘩に明け暮れるだけの男
彼の頭の中は 喧嘩しかない
どうやって喧嘩に強くなれるか?
路地裏で相手を見つけては襲いかかる
荒野の獣が目だけをギラギラと
光らせ 獲物を狙う そんなしなやかさは無く もっと、汚らしくて 粘着質
アスファルトに横たわるその湿った
服から染み込んだ血液や汗の立ち昇る悪臭
更に街の汚れを吸い込んで行く

その強さに魅せられた木偶の坊が
尻尾を振って後を付け回し
圧倒的な暴力の後ろ盾を獲得し
やりたい放題の屑っぷりが突き抜けていた
菅田将暉
この役柄で彼が大嫌いになったのは言うまでもない
ただの通りすがりの学生服の少女を
なんの躊躇も無く暴力を振るう
何が起きているか理解できない頭で
道に倒れる少女を容赦なく殴打する
だらしなく開いた口から
信じられない暴言を吐きながら

その後も調子に乗り次々と犠牲者を
作る 奇声を発しながら 気が触れたように
この役柄を演じながら彼は何を考えていたのか問いただしたい

しかし
その問いかけの答えはわかっている

それが暴力の正体なのだ

そして自らの罪を辿るように
因果応報という形で確実にそれは襲いかかる

胸糞悪い所に後味まで悪い

だからこそ記憶に刻まれるのだ
それは深く 濃く
カテリーナ

カテリーナ