KouheiNakamura

後妻業の女のKouheiNakamuraのレビュー・感想・評価

後妻業の女(2016年製作の映画)
3.5
クソボケが!


悪態をつく、という言葉がある。辞書によると、口汚くののしったりけなしたりすることだとか。例文としては「悔し紛れに悪態をつく。」などなど。なるほど。
この映画に出てくる人物たちはよく悪態をつく。主役の大竹しのぶ・豊川悦司はもちろんのこと尾野真千子や永瀬正敏や水川あさみ、さらには笑福亭鶴瓶まで。しかも彼らは皆関西弁だ。悪口の種類も豊富、嘲りから罵りから誹りからなんでもありだ。しかし得てして悪態をついている人というのは、側から見ると滑稽なもの。この映画、展開する話自体はかなりえげつないし被害者にとっては笑えない話ばかりだ。が、笑える。テレビドラマ界の重鎮・鶴橋康夫監督のブラックコメディ演出が冴えているおかげだ。
特に前述した大竹しのぶ・豊川悦司コンビの掛け合いが本当に素晴らしい。お互いに罵り合いながらも、2人は一心同体。一蓮托生。ゲスで最低な2人なのに、何故だか少し同情してしまう。2人の演技を見られるだけでも、この映画を観た甲斐があったというものだ。

後半テーマがブレて最後の締めが納得しづらいものになってしまったのは残念だが、一見の価値ありのブラック・コメディだ。大人の方にオススメ。
KouheiNakamura

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