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かごの中の瞳のharuのレビュー・感想・評価

かごの中の瞳(2016年製作の映画)
4.0
プーさんの裏側。

盲目のジーナは優しい夫ジェームズに支えられ、幸せに暮らしている。ある日ジーナが手術を受け目が見えるようになると、目の前にいたのは、いつも守ってくれる優しいけどつまらないオッサンでした。

予想通りすぎる展開でしたが、夫の方がいろいろ抱えていたのがおもしろかった。ジーナの目が見えないときに二人の仲がうまくいっていたのは、ジェームズがジーナの世話をすることで彼の欲求が満たされていたから。彼はちょいちょい妻に「見えないくせに」とか言っちゃって、盲目の妻を下に見ているのは明らか。さらに妻の自分への依存度を高めようと、わざと意地悪な演出をしたりと抜かりない。しかしジーナの目が見えるようになることで、二人の関係性がいっきに崩れていきます。夫は「目が見えないジーナ」を求めていたのです。
一方ジーナは元々好奇心旺盛なため、目が見えるようになると、早々に夫の手から離れていく。あんだけ世話になっておきながら、その掌返しも鮮やかでしたけど、気持ちはわからなくもない。事故の傷は思ったより目立たず、自分ってば意外とイケるじゃんと自信持っちゃったジーナは、夫がこれまで揃えてくれた(センスない)服を目の前で全部捨てたり、通りすがりの人間とケンカしたり、公園のワンちゃんトモダチと浮気したりとやりたい放題。夫もぶっ飛んでればうまくいったのかもしれませんが、そうだったら二人は結婚してないだろうし。夫こそ妻に依存してたように見えました。
夫の「冴えない中年のオッサン感」が絶妙でした。
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