K助

レディ・プレイヤー1のK助のレビュー・感想・評価

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)
2.6
話題になっているこの作品、観てきました。
「あ、そうなんだ。君、感動したんだ、この映画に。あ、ふーん」
というのが観終わった後の、僕の感想の全てです。

色々あって、部分的にディストピア的な世界となっている未来。そこに住む人々は、天才プログラマーであるハリデーが創造したVR世界「オアシス」に逃避する事で、現実世界から目を背けている、という設定。
主人公も、そんな人間のひとり。老衰死したハリデーが遺した遺産、5000億ドルと「オアシス」の運営権を獲得せんものとして、日夜VR世界のゲームに明け暮れている。そんな中、主人公がハリデーの遺産相続に必要である「3つの鍵」の一つを手に入れたところから物語は動き始める…。

最初に感じた印象は『マトリックス』に似ているな、というものでした。デジタル化された仮想世界で生活する(遊ぶ)、というところが、そういった連想を導いたのでしょう。
ただ、『マトリックス』ほどに設定が凝っている訳でもなく、キャラクターに思い入れを持てる訳でもなく、でも画面に繰り広げられる世界はCG。正直、映画館でゲームの実況プレイ動画を見せられている気分になりました。
VRゲーム「オアシス」自体は社会に広がっているのですが、主人公を取り巻く現実は、どちらかと言えば社会の底辺。しかし、底辺層ならではの話がある訳でもないですし、友人や恋人が居る訳でもないですし、底辺層ならではのバイタリティだったり、コンプレックスだったり、そういった個人と背景を結びつけるような要素は全くなくて、ビックリ。
そもそも、個人を描くだけの肉付けがなされていなくて、登場人物全てが、とても薄っぺらに感じました。

ネットでは絶賛されているガンダムの登場ですが、この扱いも何なんだかなぁ。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアン、『AKIRA』の金田バイク、『ストリートファイター』の春麗、『ゴジラvsメカゴジラ』のメカゴジラ、『HALO』の装甲服、そしてガンダムと、オタクが喜びそうなコンテンツからのガジェットは散りばめられているのですが、そのコンテンツを活かしたネタがあるわけではなく、ただ出て来るだけ。それだけで面白くはあるのですが、作品の内容に取り込まれている訳ではないので、冷静になると扱いの薄っぺらさに泣きます。
物語中盤で主人公を育ててくれているおばさんが対立組織に殺されるのですが、殺された直後にゲーム内で知り合った女性とリアル遭遇出来た事で浮かれまくる主人公。その後、おばさんに言及するのは一回だけ。う、薄い…。
ヒロインも、主人公に「君が好きだよ」と言われただけで、長年抱えていた「顔にアザがある」というトラウマを克服。う、薄い…。
主人公のアジ演説だけで、企業打倒に立ち上がる「オアシス」プレイヤーたち。う、薄い…。
そして、そんな多数のプレイヤーたちに助けられたにも関わらず、「オアシス」の運営権と財産は主人公の友達だけで山分け、そして一週間のうち2日はVR世界のサービスを停止し、「僕たちは現実に生きているんだから」とのたまう主人公。う、薄い…。
映画の中に盛り込まれている各種要素が薄過ぎて、僕のただでさえ薄い頭髪が、更に薄くなりそうだよ!(言いがかり)

結局、一番印象に残っているのが、底辺層がVRゲームにハマった結果、何が起こったか。
ヒモが引越し資金を全部ゲーム内でスッてしまう。
親がVRゲームで借金を作り、返済の為の強制労働で死んでしまう。
ヒロインが各所に作ったゲーム内借金の合計が400万円。
ソシャゲ破産するバカは日本だけじゃないんだ、と呆れ返った僕でした。
K助

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