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セトウツミのtetsuのレビュー・感想・評価

セトウツミ(2016年製作の映画)
4.1
『殺さない彼と死なない彼女』が、あまりにもハマらなさすぎて、家に帰って、ふと観たくなった作品。

高校二年の瀬戸と内海。
部活に所属していない二人は、放課後を河川敷の側で過ごしていた。
会話劇を中心にオムニバス形式で描かれる彼らの青春。

本作をモデルにした学生映画を観たことがあったり、自分自身もワンシチュエーションの短編映画を作ったことがあったりと、様々なきっかけが重なり、ずっと観たかった作品。
今回、ついに念願の鑑賞となったわけですが、期待を裏切らない面白さで、終始、楽しかったです。

正直、本作で起こるのは、大したことのない出来事の積み重ねで、それゆえに「つまらない」という人もいるでしょう。

しかし、僕自身としては、本作に登場するキャラクターたちに共感する部分も多く、『殺さない彼...』とは対照的に、キャラクターが好きだからこそ、ずっと観ていたいと思える作品でした。

「一人は好きだけど、孤独が好きなわけではない」内海の心情や、周囲より優位と思い込むことで自分を正当化しようとする"節がある"彼の思考は痛いほどよく分かるので、もはや途中から"神妙な面持ち"で、自己分析の様に観てしまいましたけどね...。笑

そう考えると、女子の自分語りが多かった『殺さない...』がハマらず、男子の自分語りが多い本作にハマったのも、無理はないのかもしれません...。

というわけで、
『殺さない...』と見比べると、「ありふれた日常描写」と「その大切さ」というテーマは共通していながらも、視点が異なるだけで、かなり印象が違う本作。
高校時代につまらない話で盛り上がる友人がいた人や、ジャルジャルのシュールなコントが好きな人には確実に観てもらいたいコメディ映画の名作でした。

P.S
本作同様、中条あやみさんが関西弁を披露した名作短編『正しいバスの見分けかた』では、岡山天音さんが本作に引き続き登場。
『セトウツミ』のスピンオフと言えるほど、雰囲気の似た青春シュールコメディの傑作なので、こちらも是非。
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