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バービーのikustatinoのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
4.0
『バービー』

映画館を出て外を歩いてるんだけど、今も嗚咽気味に泣いていて目が真っ赤でとても電車に乗れる状態じゃなくて、この感想を書いている。

自分で不思議なのはこの涙が感動したとか裏切られたとかそういう類の気分の物ではなかった事。

本作は大きな社会の意識変革の節目であり、映画鑑賞はその立ち会いの場だった気がする。
けれど映画を見終わった時、この作品の中には自分は居なかったとも思った。
自分の抱えている悩みや苦しみ、そして歴史はこの映画では救われないんだと思うと少しだけ悲しかった。

ただ矛盾しているようだけど、"世界と自分のありようを変えたくないバービー"も、"今の世界では呼吸ができなくて、ありのままの自分を見てほしいケン"も、どちらも自分の断片であると感じていた。


映画は思い通りにならない世界と自分を許容し、古い轍を外れて新たな道を自分で描こうと謳っていた。

だから『バービー』の中に自分が居ないのは当然で、抽象化された物語を外れて自分の道を一人一人歩かなくてはならないのだと思った。
思い通りにはならない世界も、思い通りにならない自分も、自分の力で愛さなくてはならいのだ。

だから何世紀も苦しみ続けてきた彼女達が解き放たれたその後"僕ら"も席を立たなくては…。
映画が終わり家路へと向かうこの瞬間から僕らは自分達の物語を紡ぎ、苦しみと悲しみを取り除くための声をあげるのだ。
今はまだ1人きりだったとしても。

そう思うと無性に涙が止まらなかった。

生きよう。生活をするのだ。
この世にどんなに自分の居場所がないように思えても、猫とパートナーと、僕もきっと幸せになろう。
ただあるがままに人も、自分も、許してやらるのだ。許してやらねば。
きっと何もかも少しずつ変えてゆける。
きっと。


だいぶ感情移入強過ぎて文章が気持ち悪くなっているのは百も承知だけど泣きながら一気に書いたらスッキリした。
お腹も減った。お腹減ったぞ!
あー楽しかった!ありがとうグレタ!!
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