踊る猫

ルームの踊る猫のレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
4.1
極限状態の脱出、つまり閉じ込められている「ルーム」から外に出るということは恐らくこの世界に「生まれ落ちる」という出来事を暗示しているのではないか……と思ってしまった。その意味では有り触れたスジの整理になってしまうが(これがこの映画を貶めないことを切に願うが)、「再生」の物語であり我々も生まれたばかりの頃の世界に対する新鮮さを体感する経験を蘇らせることになるのだろう、と。あと個人的に気になったのは妙に女性が活躍していることで、これもまた女性が社会において苦闘しているということの暗示なのではないか……その意味で『ゼロ・グラビティ』を想起させる部分は確かにある、と書けば差別だろうか? 敢えて描かれない余白を作ったことが消化不足にも思える反面、そのドラマ性の骨の太さだけで勝負しようという姿勢にはある種の頼もしさすら感じた。
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