みほみほ

ボブという名の猫 幸せのハイタッチのみほみほのレビュー・感想・評価

3.7
誰かとの出逢いによって、自分の人生が、一瞬にして意味のなるものに変わる瞬間がある。
自分の存在が無意味に思えて、誰からも必要とされない孤独さから消えたいと思ったり、破滅的な生活を送ってしまうのが人間。主人公のジェームズがあの状況で わざわざ父親の家に出向いたのは、気持ちを確認したかったからだと思う。もがきながら答えを探していたのだと思った。

ボブと出逢ったジェームズは生き甲斐を見つけた。それはボブにとっても同じだった。ボブにもジェームズが必要だった。

人は心の支えとなる何かを得れば こんなにも豊かになれる。水のない世界で苦しむ魚に、水を注ぎ、一瞬にして 水を得た魚は優雅に泳ぎ回る。この映画はそんな風な思いを実感させてくれた。

どうしようもない人生にもがき苦しむ時に、ボブと出逢ったジェームズ。

ジェームズとボブが出逢えた奇跡の温かさもさることながら、ボブの愛くるしさに目が離せない。ボブ目線に合わせたカットが多くて、ボブの好奇心にも寄り添える不思議な作品だった。

ボブは本人なんだ。あ、本猫か(笑)

本当に若々しく活き活きした猫で、好奇心が伝わってきて 愛おしかった。

ジェームズを幸せにしてくれて、ありがとう。ボブが変えたジェームズの人生、ボブが選んだジェームズ、お互いに寄り添って、最高な幸せ=日常 を得ることができた。心温まる奇跡の実話でした。


最後に一つ、
日本では 路上生活者や物乞いなど、見慣れない光景で、ホームレスとすれ違えば怪訝な目で見たり、見ないフリをする人が多い。私自身も何かされたら怖いからあまり見ないようにしていた。
大半の人が怖くて見ないフリをするか、存在をないものとするか、見下して嘲笑うかだけど、海外ではこんなにラフな感覚で今時の若者が路上生活を送る事も多いのだという事にも驚いた。

支援の輪や福祉など、日本よりも進んでいるなぁという印象があったし、日本ももう少しそんな人達に優しくなって欲しいと思ったし、自分も凄く考えさせられた。もっとラフな国に行きたいなぁとも、なんとなく思いました。

ボブとジェームズのように、導かれるようにして出逢う幸運。

人生はいつだって変わるかもしれないし、変わらないかもしれない。

でもきっかけは 生きていれば、突然起きるのかもしれない。
みほみほ

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