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マダム・フローレンス! 夢見るふたりのRのレビュー・感想・評価

4.9
スゴいです! スティーブンフリアーズ監督、傑作続き! 円熟の極み! 何となしに、よくあるふざけたゆるいコメディなのだろうと、あまり期待してなかったんやけど、見事に覆してくれました! ド天然でお茶目で無邪気なマダムフローレンス、歌がかなり下手くそなのに、自分は上手いと思い込んでて、周りもそれに合わせて褒め称え、ついには金にモノを言わせてソプラノ歌手として大舞台に立ち、夫のシンクレアが金で買った称賛と、普通に酷評の両方を得るんやけど、後者はとにかくフローレンスの耳目に入らないよう、夫が隠し通そうとする。フローレンスは治療のない時代に梅毒にかかってて、でもなぜか長生きしてて、シンクレアはフローレンスを心から愛し、遺産は相続するのだけど、セックスは出来ない、だから愛人がほかにいる、というややこしい事情付き。ふたりの世界に加わる若きゲイピアニストのコズメは、はじめはフローレンスの歌声に呆然、これでステージに立つとか無理なんですけど!って感じやねんけど、だんだんフローレンスの天真爛漫なチャーミングさにやられて、喜んで彼女のためにピアノを弾くようになる。ストーリーに関しては、たぶん見る人によっていろいろ感じ方が違うと思うけど、俳優陣についてはたぶん皆さん意見が一致するだろう、メリルストリープの絶妙な歌の下手さ!すげえええ!しかもひとつひとつの表情や仕草がめちゃめちゃカワイイ! そりゃみんな魅了されるわ! 歌ってるシーンは、ほんまひどくてゲラゲラ笑えつつ、どこか心がウキウキする楽しさがあり、カワイイし何とも言えない不思議すぎる魅力。さらに、旦那を演じるヒューグラントはメリルストリープを上回る素晴らしさで、哀しくもあるけど、ダンディな英国紳士っぷりがヤバかった! 特にパーティーシーンのハジけっぷりと、最後の顔しわくちゃにさせたスマイルがさいこーーーー!!! ほんで、ゲイのサイモンヘルバーグの、大げさでありつつ繊細な表現と、見事な心情変化の体現に、感動を禁じ得なかった。脇役も、誰も彼も、ただ最高! 最後は、愛にあふれていながら、どこまでも切なくて、心がギューーーーっ。涙こぼれそうになった。美しい映像も、オシャレすぎる音楽も、ファッションも、豪華な家の内装とかも、すべてが最高レベルで、これは何度も繰り返し見たい作品になってしまったかもしれませぬ。大変に予想外! ほんとに素晴らしかった!
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