KouheiNakamura

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男のKouheiNakamuraのレビュー・感想・評価

4.0
コーエン兄弟の「ヘイル・シーザー!」とは表裏一体な一本。
1950年代のハリウッド、共産党の党員であるというだけで排斥された時代。一人の才能ある脚本家は、それでもペンを取り闘い続けた。彼の名はダルトン・トランボ。あの「ローマの休日」の脚本家である。

不勉強ながら、トランボが脚本を手がけた作品はどれも未見。しかし、映画は十分楽しめた。トランボを演じるブライアン・クランストンを筆頭に、ヘレン・ミレンにジョン・グッドマン、ダイアン・レインなどの演技だけでも楽しめた。トランボがどのように苦境の時代を生き抜いたかがドラマチックに、時にコミカルに描かれていて興味深かった。
赤狩り…そのあまりにも愚かしい所業のせいで生活を奪われた人は一体どれだけいたのだろう。トランボは、そんな彼らの代弁者としても闘っていたのだと思う。剣ではなく、ペンで。ある友人の想いも乗せて。そんな彼が報われるラストにはグッと来ざるを得ない。

タバコを吸いながらタイプを叩くその姿は、勇猛果敢な闘士に勝るとも劣らないほどに格好いい。
生きにくい時代に、自分の信念を貫き通した男の物語。オススメです。
KouheiNakamura

KouheiNakamura