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無限の住人の群青のレビュー・感想・評価

無限の住人(2017年製作の映画)
2.7
原作は結構好き。
敵にも敵の事情があり、時には共闘することがあり、更に主人公と敵だけじゃない第三勢力も出てきて、キャラ相関がめまぐるしくところにかなり価値観を揺さぶられた。
ただの善、ただの悪ではないという考え方くが今まで自分の中にはなかったものだったからだ。だから特にその敵でも味方でもない第三勢力となる無骸流のキャラががとても魅力的だった。実直に任務をこなし、情にも厚い偽一と、悲惨な人生を辿るのに懸命に明るくいる百琳。そしてそれらを束ねる作中最強に近い吐。

復讐を誓った凛とその用心棒である不死の浪人、主人公万次を中心に据えつつ出てくるキャラたちがしっかりキャラらしいラストを迎えていて、切なさと悲しみもあるけどある種開放感もあって非常に読み応えのある作品だった。


その映画化。正直それぞれの俳優は申し分ないといえる。
しかし話運びが単なる原作を2時間20分に詰めるためだけに作られたもので、それに無限の住人のキャラをかぶせた俳優が演技するだけになってしまっている。
一応、ヒロインに当たる凛の復讐をベースにして万次が次々と刺客と戦って行くのだが、戦うだけである。しかもるろうに剣心のような剣戟はなく、切ると切られるが続くだけ。もうちっと時代劇の殺陣のほうがちゃんとやってるぞ…
確かに万次のような切られるばかりだからこそ不死性が際立つともいえるが、別に万次は敵の攻撃を全くかわさないわけではなくできるなら無傷でやりたい方。でも映画ではそんなに避ける風もなくとりあえず攻撃されれば血を流し倒れる。うーん、そうじゃないんだよ、となる。
無限の住人という良さがスポイルされ設定だけ借りた非常に空虚な作品に仕上がってしまった。

ジョジョではあんなにうまく実写に解釈してたのになんでこう振り幅があるんだろうか、この監督は笑

あとこれは日本の映画だからどうにもならないと思うが体づくりがなってない。海の向こう側の人たちはきっちり仕上げてくる。ただネオ江戸の服を着てネオ江戸の髪型にするのが無限の住人じゃないんだぜ、といいたくなる。
作中最強の槇絵を演じる、戸田恵梨香は華奢すぎて全く説得力がなかった。単なる華奢じゃないんだよ、鍛え抜かれたスレンダーさなんだよそこんところをよお!

一番残念だったのは物語を圧縮させたせいで一番好きな無骸流のキャラたちがマジでなんの役所もないところ。一応百琳を栗山千明という一応の演技をやった女性なのに、出て着て万次にやーやーいうだけ。なぜ出て着たのか、なぜわざわざしっかり演技させたのにそんな結果なのか。栗山千明の宝の持ち腐れだ笑


これでぶった切りエンターテイメントとって言われてもなぁ…
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