むぎちゃ

ジョン・F・ドノヴァンの死と生のむぎちゃのレビュー・感想・評価

4.0
試写会にて鑑賞ᕦ( ᐙ )ᕤヤッタネ

母と子をテーマに描いてきたドラン監督の集大成とも言える作品。
『テレビスターと少年の文通』というキャッチーなフックからは想像出来ないアツい物語。

静かな進行ながら、いやだからこそそのドラマチックな展開に涙が流れた。
音楽の使い方本当にズルい。あれ泣くって。


現在と回想の二重構造で進むが、物語上、メインは当然テレビスターと少年の関わりを描く回想となる。

しかし、聞き手である記者の態度の変化も大事なポイント。
中盤、ルパートとの会話からカメラがスっと二人のイマジナリーラインを越える…。
おや?と思ったらここから記者の様子が…。
そう、こっちにもドラマがある。展開がある。
ここが本当に上手い。さらに深くグッと物語に引き寄せられる。


上空から街並みを淡々と写す演出が何故か印象に残る。
定規で引いたようにピッチリと区画分けされた街、決められた方向にしか進まない車はまるで「当然こうあるべき」という世間の狭き流れを感じた。

そんな同じ惑星の年の離れた青年と少年、優しさや悲しさが綯い交ぜになった物語は劇的に進んでゆく。

そして物語を語り終えたあと、この映画の終わり方、なんて清々しい気分になるんだろうと驚きまた感動した。


余談だが、現実でも映画でも『冤罪』『誤解』が本当に本当に苦手でアレルギー反応が出るレベルなのだが、本作はバリッバリに発作が起きた。鼓動は早まり脂汗がどばどば出た。
同じような人がいるかは知らんけど、要注意。
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