映画関連雑誌に目を通さなくなって早10年ほど。それからは主にネットで得られる記事やSNS等での情報収集に頼る事になっていったのですが、どちらかと言えば主に自ら探して取りに行く記事類と違い、SNSでは決して自身の興味の中心ではない情報も飛び交い、目にすることも多い気がするのです。
本作もそうしたSNS上での情報により認知した作品。特に13日からの公開が近づくにつれ、日増しにその温度感が上がっていくのに興味を覚え、公開直後の昨晩の鑑賞となったのであります。
#グザヴィエドラン 。この俳優兼監督。つい最近まで私は全く知りませんでした。現時点ではまだまだ30歳という若さで熱狂的ファンも世界で多数の模様。
そういう意味では1年間に400本・500本と鑑賞される猛者の方々からすれば、ほぼ偏った自分の興味の範疇の作品しか観てきていない私もまだまだ若輩者。果たして鑑賞の結果は…
ヴィヴィッドにしてナイーヴ。
鮮烈にして繊細。
一言二言で言うならそんな感覚でしょうか。
あくまで私の感触ですが、ストーリーを追いかけるタイプの作品ではないのでしょう。
インタビューから始まり現在・過去が交錯する構成。
顔全体を捕らえきれないほどのアップの連続、かと思えばドローン撮影と思しき俯瞰映像も差し挟まる見た目の起伏。
登場人物の感情の揺れ・迸りを、内面に入り込み、ある意味同化して存分に共有する。
画面に映る有り様、同時に流れる場面場面と一体化した歌・音楽を嗜む。
なるほどテクニック面では意図してか、本能的にか、なかなか面白い手練手管を魅せてくれます。
正直私自身の感情移入という点では、タイトルにもなっているジョン・F・ドノヴァンその人にはあまり向かわず、主人公(と言って良いでしょう)ルパートの少年時代を演じた #ジェイコブトレンブレイ くん(「ワンダー 君は太陽」の主人公の少年も演じたのですね。こちらも早く観なきゃ!)一点に集約されます。
離婚した母と共に慣れないイギリスで暮らす、その母も仕事で忙しく多いとは言えない接点しかない孤独感。
悪ガキっぽい同級生から受けるイジメを受け流す毎日。
だからこそ超人気俳優ジョン本人・その出演ドラマに心酔する心情。
彼との100通にもわたる文通の事実を同級生や先生はもちろん母親にも信じてもらえない悔しさ。
そして起こる決定的な出来事。
だからこそ、ラスト近くの「スタンド・バイ・ミー」と共に母子の距離が真に縮まるあの高揚感は際立って響いたのでしょう。
繰り返しになりますが、グザヴィエ・ドラン、若干30歳でありながら、2014年監督5作目の「Mommy/マミー」にてカンヌ国際映画祭の審査員賞、2016年6作目の「たかが世界の終わり」ではグランプリに輝いたという、才能の持ち主とのこと。
本作に終わらず、過去作も遡ってみたくはなったのは、今回の収穫であったと言えるかも知れません😌