初めてのグザビエ・ドラン作品がこれ、
というのは、良かったんだろうか。
悪くはない。
自身を投影したらしい二人の人物のドラマが、、
物語の中の物語の手法で、
巧みに描かれていたと思う。
11歳のルパートが学校に馴染めず、いじめられ、
母親ともぶつかる場面が続くのに、胸が痛む。
ルパートはやはり、周囲と違うのだ。
この子を育てなければならないと考えると、難しい。
ナタリー・ポートマンが母親役にすっかり馴染んでいて、
それも感慨深い。
ルパートが憧れるテレビドラマのアイドル俳優が、
ジョン・F・ドノヴァン。
彼もまた、母親や家族との間に問題を抱え、
その原因は彼自身にある。
一方で、母親の俗物ぶりが見るに堪えない。
ジョンの身になり、やるせない気持ちになる。
その母親役がスーザン・サランドン。
ジョンのマネージャー役でキャシー・ベイツも脇を固める。
彼女が画面に出てくると安心感がある。
ちょっとネタバレ。
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母と息子の関係が、突然修復されたのは、
なんだか安っぽいドラマに感じられて、
グザビエ・ドランさん、そんなんでいいんですか?
と思ってしまった。
そして、ゲイの人の立場になれないから、
理解できないのかもしれない。
社会に根強い拒否反応がある、という前提で語られるわけで、
簡単にオープンにしちゃえばいいじゃーん、
とはいかないのだろう。
だからこそ、このドラマが成り立つのであって、
彼らは苦悩するのだ。
もちろん、ゲイでなくても、
周囲との違いに悩むことは大いにあるから、
そういう観方もできるのだが。
とにかく、なぜそんなに頑なになる?
傷つけあう?
やめなさい、と言いたくなる映画だったが、
不思議なハッピーエンドなのだ。
途中、神のような存在が現れるのは、
救いにも感じられるが、うーん。
また、この監督の音楽の使い方が良い、
というレビューもあるのだが、
この作品においては、
ちょっとダサいなあと感じる場面もあって。
私のほうがわかってないのかなあ。笑
他の作品を観ないとね。