みっちゃん

ジョン・F・ドノヴァンの死と生のみっちゃんのレビュー・感想・評価

3.6
初めてのグザビエ・ドラン作品がこれ、
というのは、良かったんだろうか。
悪くはない。
自身を投影したらしい二人の人物のドラマが、、
物語の中の物語の手法で、
巧みに描かれていたと思う。

11歳のルパートが学校に馴染めず、いじめられ、
母親ともぶつかる場面が続くのに、胸が痛む。
ルパートはやはり、周囲と違うのだ。
この子を育てなければならないと考えると、難しい。
ナタリー・ポートマンが母親役にすっかり馴染んでいて、
それも感慨深い。

ルパートが憧れるテレビドラマのアイドル俳優が、
ジョン・F・ドノヴァン。
彼もまた、母親や家族との間に問題を抱え、
その原因は彼自身にある。
一方で、母親の俗物ぶりが見るに堪えない。
ジョンの身になり、やるせない気持ちになる。
その母親役がスーザン・サランドン。

ジョンのマネージャー役でキャシー・ベイツも脇を固める。
彼女が画面に出てくると安心感がある。

ちょっとネタバレ。





母と息子の関係が、突然修復されたのは、
なんだか安っぽいドラマに感じられて、
グザビエ・ドランさん、そんなんでいいんですか?
と思ってしまった。

そして、ゲイの人の立場になれないから、
理解できないのかもしれない。
社会に根強い拒否反応がある、という前提で語られるわけで、
簡単にオープンにしちゃえばいいじゃーん、
とはいかないのだろう。
だからこそ、このドラマが成り立つのであって、
彼らは苦悩するのだ。
もちろん、ゲイでなくても、
周囲との違いに悩むことは大いにあるから、
そういう観方もできるのだが。

とにかく、なぜそんなに頑なになる?
傷つけあう?
やめなさい、と言いたくなる映画だったが、
不思議なハッピーエンドなのだ。
途中、神のような存在が現れるのは、
救いにも感じられるが、うーん。

また、この監督の音楽の使い方が良い、
というレビューもあるのだが、
この作品においては、
ちょっとダサいなあと感じる場面もあって。
私のほうがわかってないのかなあ。笑
他の作品を観ないとね。
みっちゃん

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